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イベントレポート

【イベントレポート】2025年9月24日開催 「MotoGP™ in Tokyo」プロモーションイベント@歌舞伎町シネシティ広場

世界最高峰の二輪ロードレース、MotoGP™の日本グランプリを前に、歌舞伎町シネシティ広場で特別なプレイベントが開催されました。2025年9月26日〜28日にモビリティリゾートもてぎ(栃木県茂木町)で行われる「2025 FIM MotoGP™ 世界選手権シリーズ 第17戦 MOTUL 日本グランプリ」への期待を高める豪華なイベントでした。

秋晴れに恵まれたこの日、会場には多くのファンが駆けつけ、総勢15名の現役ライダーによる貴重なファンサービスも実現しました。バイクの展示コーナーでは、その造形美に魅了されるファンの姿が印象的でした。

ステージプログラムの進行を務めたのは、元MotoGP™ライダーで現在はテレビ解説でもおなじみの中野真矢さんと、2025年のMotoGP™ PR大使に任命された若月佑美さんです。

中野さんは実際のサーキット観戦の魅力について、「場所によっては耳栓が必要かもしれませんが、そういった音の迫力やオイルの匂い、さらにはバックストレートではもてぎの場合300km/hぐらい出るので、ぜひ実際に見ていただきたいですよね」と熱く語ってくださいました。ちなみに、イタリアのムジェロ・サーキットでは360km/hを超えるそうです。

若月さんは今年2月に運転免許を取得され、現在は400ccのバイクを運転されているそうで、ライダー目線からもMotoGP™の魅力を伝えてくださいました。

イベントには日本を代表するオートバイメーカーの幹部の方々も参加されました。本田技研工業株式会社 執行役二輪・パワープロダクツ事業本部長の加藤稔さんは、「フランスGPでチームの総合力によりザルコ選手が優勝できました。サマーブレイク後は着実にマシンも良くなってきているので、総合力、戦闘力も上がっています」と手応えを語ってくださいました。

また、中上貴晶選手が開発ライダーを務めることで「彼の経験と技術を活かして、マシンの開発スピードがどんどん上がっています」と開発体制の充実ぶりをアピールされていました。さらに、今日がちょうど本田技研工業の創立記念日で77周年を迎えるとのこと。「本田にとって、レースは本田のDNAです。77年前、小さい会社でスタートした本田は、5年後にマン島TTレースに出場することを宣言し、その3年後に出場を果たしました。そのさらに2年後には、1位から5位までを独占しました」と本田のレースへの情熱を語られました。「今週末のMotoGP™では、ここではまだお話できない技術も入っているので勝ちに行きます」という力強い言葉も印象的でした。

ヤマハ発動機株式会社 上席執行役員ランドモビリティ事業本部長の鈴木康高さんは、「昨年に比べるとだいぶ進化してきているかなと感じます。ファビオ選手のポールポジションを取る回数が増えてきていますが、本戦の結果につながっていないという悔しいところがあります」と現状を分析されていました。V4エンジンの開発を鋭意進めており、「他社に追随して巻き返しをどう行っていけるか、マシンを仕上げていけるかが課題です」と語ってくださいました。

MotoGP™を運営するドルナスポーツからは、CEOのカルメロ・エスペレータさんとチーフスポーティングオフィサーのカルロス・エスペレータさんが登壇してくださいました。

カルメロさんは「日本は特別な場所です。今年契約を行い、来年から5年間はもてぎに戻ってきますので、長く皆さんに応援していただきたいと思います」と日本での開催継続を約束してくださいました。

カルロスさんは「日本のファンは特別なファンです。2027年のシーズンから排気量や燃料、タイヤのサプライヤーなどのレギュレーションが変わりますが、私たちが目指しているのは、もっと争い、追い越し、レースを楽しんでいただけることです」と将来への展望を語ってくださいました。中野さんによると、このお二人がMotoGP™を大きくされたそうです。

Moto3™クラスで活躍されている山中琉聖選手は「皆さんの前でいい走りができるように頑張っていきたいと思います」と抱負を語ってくださいました。ラーメン好きで特に家系ラーメンを愛する山中選手らしい親しみやすさも垣間見えました。

古里太陽選手は中野真矢さんを「先生」と慕い、「もてぎは地元のサーキットですし、得意ではないですけど自分のできることをいつも通りに頑張って、できたらいいところで終われるように頑張ります」と地元開催への特別な思いを込めてお話しくださいました。日本に帰ってきたら必ずすることは爆食いだそうです。

Moto2™クラスで活躍されている佐々木歩夢選手と國井勇輝選手は、トレーニング仲間でもあり、自転車トレーニングでは一度に100キロも移動されるそうです。お互いに尊敬し合いながら切磋琢磨している様子を伺うことができました。

國井選手は「もてぎは全日本のときから得意としています。MotoGP™で走るのは初めてなので気合が入っています。自分にとって初めてのホームレースGPになるので、自身最高のレースができるように頑張ります」と意気込みを語ってくださいました。

佐々木選手は「1年に1回の日本グランプリです。自分たちにとっては本当に大事なレースです。去年より確実にいい走りができると思うので集中して頑張ります」と決意を示してくださいました。

元GPライダーでHRCテストチームの中上貴晶選手は、現在の立場について「呼ばれたときに代役として走るバックアップライダーとして準備しなければいけないので、生活がガラッと変わりました。より忙しくなり、トレーニングにもより励み、予定をオープン状態にしておかないといけないのでそのあたりが難しいな、レギュラーライダーとは違うな、という感じはあります」と率直に語ってくださいました。「100km/hも300km/hも見える景色が変わらない」という印象的な名言とともに、「今年はワイルドカードという形で今までとは全く違う環境です。日本グランプリは自分にとっても大きな挑戦でもあります」とテストライダーとしての新たな挑戦への思いを語ってくださいました。

今回来日されたライダーの方々は、日本最大の歓楽街、ここ歌舞伎町に宿泊されたようです。ジョアン・ミル選手は「東京をエンジョイしています。日本の文化、食事、流儀が大好きです。今週末は本田のホームグラウンドですばらしい走りをみなさんに見せたいと思います」とお話しくださいました。

ソムキャット・チャントラ選手は「母国のタイと似ているところもありますが、みなさんとても優しいですし、日本に来るときはとても楽しみにしています。日本でも本当に大勢の方が集まっていただき、僕もアットホームな気持ちでいられて、愛されているように感じます。日本が大好きです」と温かいメッセージをくださいました。

2022年日本GP優勝者のジャック・ミラー選手は「たくさんの方にお会いできて嬉しいです。もてぎに来て応援していただけたらすごく力をもらえます」とファンへの感謝を表してくださいました。

アレックス・リンス選手は家族と東京観光を楽しまれたそうで、「実は今回家族と東京に来ました。家族にとっては初めての日本で、都内の渋谷や原宿、新宿を観光しました。買い物をたくさんしました。特に奥様がね」と笑いを誘ってくださいました。

ペドロ・アコスタ選手とエネア・バスティアニーニ選手には、若月さんから日本文化のおすすめとして「お茶漬け」をご提案されました。お二人はそれぞれイタリアとスペインが母国ということで、それぞれのおすすめの料理も紹介してくださいました。

現チャンピオン争いの中心にいるマルク・マルケス選手は、「僕の弟が強いのでなかなか勝つのは難しいかもしれませんが、週末はベストを尽くして獲得できたら嬉しいなと思います」と弟アレックス・マルケス選手との兄弟対決にも言及してくださいました。若き天才ライダーとして称され、2024年のドイツGPでは兄弟そろって表彰台に輝いた偉業を成し遂げています。

フェルミン・アルデグエル選手は、日本のライダー小椋藍選手とルーキー・オブ・ザ・イヤーを争っている選手です。「ルーキー・オブ・ザ・イヤーは獲得したいと思いますが、小椋選手も強いので、彼に勝つのは難しいかもしれないけれど、だんだん僕らも成績が上がってきているのでベストを尽くしたいと思います」とライバル関係についてもお話しくださいました。

2024年チャンピオンのホルヘ・マルティン選手は、今年前半に30箇所もの骨折という大怪我から7月に復帰を果たされました。「2023年のもてぎは優勝を、2024年には2位でした。大好きなもてぎでベストを尽くします」と復活への強い意志を示してくださいました。

小椋藍選手は、MotoGP™における日本人ライダーとしてレギュラーで走る唯一の選手です。2024年にMoto2™チャンピオンを獲得し、今季最高峰クラスに参戦しています。

「もてぎはMoto2™のときにも得意かなと感じるサーキットではありますが、今年は出場するクラスもバイクも違うので走ってみないとわからない部分はありますが、楽しみを見出したいと思います。乗れるときはいつでも全力を尽くすだけなので応援していただけたら嬉しいです」と謙虚ながらも力強いメッセージを送ってくださいました。

イベントでは、バンコクローンチイベントを取材したドキュメンタリーが東急歌舞伎町タワーの大型ビジョンに投影され、MotoGP™の魅力とライダーの人柄がとても伝わってきました。動画に出演されていた「にょっきさん」こと楠木絢さんと「おつうさん」こと津田知美さんもステージに登場され、会場をさらに盛り上げてくださいました。

総勢15名のライダーがステージから降りてレッドカーペットを囲むファンに撮影やサイン、握手で応じてくださる姿は、まさにMotoGP™の懐の深さを象徴していました。ハードな戦いをされる際の表情とは打って変わって、優しくて柔らかい表情でお話ししてくださっている選手たちに親しみを覚えました。

歌舞伎町という日本最大の歓楽街で開催されたこのプレイベントは、MotoGP™が単なるレースを超えた文化的イベントであることを改めて実感させるものでした。世界最高峰の技術と速さを競うライダーたちが見せる素顔の魅力、日本メーカーの技術への情熱、そしてファンとの距離の近さなど、すべてが相まって2025年日本グランプリへの期待を大いに高める一日となりました。

このすばらしいイベントのおかげで、自身あまり馴染みがなかったMotoGP™の魅力にすっかり引き込まれてしまいました。9月26日からの3日間、栃木県茂木町のモビリティリゾートもてぎで繰り広げられる熱い戦いを、ぜひ多くの方に体感していただきたいと思います。

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